「いいよ」
・・・・・
え?
じっと上目遣いでユンホさんを見つめ
耳に届いた声に驚く
自分の気持ちに素直になって・・・自分から結婚を迫った
すぐに返事をもらえるとは思っていなかったし
冗談だと聞き流されるかもしれない
言ってしまってから後悔・・・したわけじゃないけど
でも・・・
ドキドキして、沈黙が怖くて
どうすればいいのかわからなくて、頭が真っ白になってしまったのに
ユンホさんの言葉は、とても軽く・・・あっさりしたものだった
「親同士が知り合いだし、丁度いいんじゃない?」
「・・・・え」
「じゃ、これからよろしくな」
・・・・・え?
まさか、これが正式な返事?
こんなに簡単に結婚を決めるの?
「・・・本当にいいんですか?・・・相手が僕で・・・」
「いいよ、別に・・・この前も言ったけど、どうでもいいし、
相手が誰でも同じだろ」
「・・・・・」
淡々と述べられる言葉が心に突き刺さる
ユンホさんと結婚できる喜びと
愛されない悲しみ
でも、愛されなくてもいいからと・・・結婚を望んだのは僕だ
傍にいられるだけでいい
永遠に失うより、愛は無くても傍にいる事を選んだのは僕なのだから
「でもさ・・・チャンミン、結婚するってことはさ・・・
俺とこんな事、できるの?」
痛む胸を押さえながら俯く僕の顎に手を添えて
くいっと、顎を掬われる
自然と目が合い、真っすぐな瞳に捕らわれてしまう
「・・・・きゃっ・・・・っ、」
そして、再びベッドに押し倒されたのだ
ゆっくりと近付いてくる、整った顔
目の前でぺろりと唇を舐めて見せ、にやりと口角を上げて微笑む
眩暈がするほどの、強烈な色気・・・
ユンホさんの手が僕の頬に触れると、それだけで真っ赤になってしまう
「・・・・んっ、・・・ぁ・・・・っ」
「いい反応だな?」
・・・・唇にキス、・・・されるかも
身構える僕の頬を撫で、ユンホさんの唇は僕の耳元へ・・・
突然、耳の裏を舐められ・・・耳朶を甘噛みされて
僕の口から、悲鳴に似た声が漏れる
------ん・・・ぅ・・・っ
繰り返される耳元への愛撫に、僕の心と身体はあっという間に追い詰められてしまう
必死に声を抑えようとするけれど
声を我慢すればするほど、体が跳ね上がり、過剰に反応してしまうとか
「・・・・・ぁ・・・っ、ん・・・・」
あ・・・
もう少し・・・、もう少しで唇が重なるのに・・・
耳元から頬へと移動するユンホさんの唇
熱い舌が頬に触れ、僕の丸い頬を、はむっと唇で挟む
ユンホさんの熱が僕に伝わり、
震える手を、ユンホさんの背中に、そっと腕を回したのだけれど
「その震えが治まったら抱いてやるよ」
そう言って、あっさりと僕の体から離れていく
そして、もう遊びは終わりとでもいうかのように
一人でシャワールームへと消えてしまい・・・残された僕は・・・
「・・・・っ、・・・嘘・・・どうしよう」
火照る身体を持て余す羽目になるとか・・・
どうしろっていうの・・・
こんなふうにされたまま、放置されるなんて
でも・・・
間近で見たユンホさん・・・本当に格好良かった
あの顔で迫られたら、きっと最後まで心臓がもたないだろう
ユンホさんの顔を思い出すだけで・・・
触れられた箇所が再び熱を持ち始める
結婚すれば・・・もっと・・・
最後まで僕を求めてくれるだろうか?
まだ始まってもいない結婚生活
-----相手は誰でも同じ
そう言ったユンホさんの言葉を忘れ・・・
僕は、甘い新婚生活を夢見ていたんだ
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