「・・・・・・・チャンミン、・・・・・好きだ」
「僕も・・・・好き」
年上の幼馴染を腕の中に抱き締め、大きく息を吐き出す
初恋が実った瞬間
抱き寄せた腕に力が入り、もう絶対に離さないと誓う
やっと手に入れた、唯一の愛しい人
「・・・・・・苦し・・・っ、・・・ユノ・・・・」
「もう少しだけ」
腕の中の細い体を開放したのは、数分後か・・・それ以上か
想いが溢れすぎて、気持ちが昂っている
「キスしていい?」
・・・・・声が震えていないだろうか?
嫌でも思い出すのは、チャンミンに半ば強引にキスを迫った三年前の記憶
あれが・・・俺達がぎくしゃくし始めたきっかけだった
もちろん、あの頃の俺も、興味本位で大切な幼馴染にキスをしたわけではなく
好きな相手だからこそ・・・
今よりも、もっとガキだったからこそ・・・我慢できなかった
「・・・・・んっ、・・・・ユノ・・・・」
チャンミンが小さく頷いたのを確認して、ゆっくりと唇を重ねる
柔らかい感触を確かめるように、軽く吸い付きながら味わって
下唇を甘噛みして、そっと離す
本当は、もっと・・・・
奥まで舌を差し込んで、チャンミンのそれと絡め合って混ざり合いたい
「・・・・・二回目だけど・・・これが僕達の初めてのキスだよね・・・・
・・・・気持ちが通じ合ってると、・・・・こんなにも違うんだね?」
頬を染めながら、そんなことを言う
今、チャンミンの目の前にいるのは、恋人になったばかりの幼馴染で
俺を一番知っていて、理解しているのは紛れもなく、この男
けれど、今の俺がどれほど熱い感情を押し殺して我慢しているのか
頭の中は、どうすればチャンミンの全てを手に入れられるか・・・そればかりが占めているとか
解っているのだろうか?
「・・・・家庭教師もね、ちゃんと引き受けるよ・・・・
ユノが受験に合格できるように・・・一緒に頑張ろう?」
「・・・・・・え、・・・・・あぁ・・・うん、ありがとう」
疚しいことばかりの俺に向けられた笑顔
ふわりと微笑むチャンミンに、下半身が刺激されてしまう
そんな俺とは対照的に、無造作に置かれたノートを元の位置に戻し
教科書をペラペラと捲り始める
その余裕な態度に・・・少し、不安になるとか
「・・・・・・・今までに、・・・・恋人いたことある?」
距離を置いていた時、チャンミンの事を忘れる日はなかったけれど
行動の全てを把握するなどできるわけがない
今・・・こうして好きな相手を前に、やる事ばかりを考え・・・昂っている自分
涼しげな顔で教科書とノートに目を通す恋人
この温度差は・・・・
「・・・・・恋人って、・・・・・え・・・・どういう事?」
自慢できるわけではないけれど、高校生など・・・・やりたい盛りだ
相手を問わず、経験だけを重ねる友人を見ながら
俺はずっと・・・・チャンミンだけを想って三年間過ごした
それが今、爆発しそうになっている
けれど、大学生のチャンミンは・・・歳の差は僅かだとしても
そんな時期はとうに通り過ぎ・・・それなりに経験してきたからこその落ち着きぶりなのか・・・・
「そのままの意味だけど?・・・・今までに恋人がいて・・・・
キスとか、・・・それ以上の事も・・・・したことあるのかなって・・・・」
「・・・・・なっ、・・・・・・」
ぼっ、と火のついた音が聞こえそうなくらい、一気に頬が赤く染まる
俺の問いを肯定しての反応か・・・・それとも・・・
「・・・・・ユノ、・・・・は?・・・・・どうなの?」
「俺は・・・何回も言っただろ、お前しか好きになった事はないし・・・
お前以外、欲しいと思ったこともない」
だから、キスをしたのも今日が二回目で・・・・お前だけだと
「・・・・・・僕も、・・・・ないよ、・・・・・・
・・・・僕も、・・・・・ユノだけ・・・」
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